過去とはなんだろう?
――愛したはずの夫は、まったくの別人であった。
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
2歳の次男を脳腫瘍で失い、夫と別れた過去を持つ里枝は、長男を引き取り故郷に戻ったあと「大祐」と再婚した。新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた里枝だったが、ある日突然、「大祐」は事故で命を落とす。
しかし、最愛の夫の死とともに明るみになったのは「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実だった……。
なぜ、他人の人生を生きることを求めたのか。
なぜ、人は人を愛するのか。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。待望のオーディオブック化。